■建築研究報告

防火材料の燃焼性に関する研究

鈴木  弘昭

建築研究報告  No.99,  March  1982,  建設省建築研究所


<概要>

  防火材料の燃焼性およびその試験法に関する研究は建物を火災から守る上で重要かつ基礎的役割を果たすものであるが、建築防火の研究の歴史は意外に浅く、我国において防火材料が法の下に使用を義務付けられるようになって以来12年の歳月しか経ていない。
  世界的に見て、防火材料の試験方法は各国まちまちであるばかりでなく、各試験装置による防火材料の燃焼性評価についての報告が少ない。
  本研究は、現行建設省告示の試験方法のうちの基材試験と表面試験について、それぞれの特徴と同装置による各種材料の燃焼性評価について実験を中心として経験的に得た結果をまとめたものである。
  基材試験に関しては試験体中に可燃物が混入していなくとも、試験体の熱容量、熱反射などの影響で見掛け上、発熱を示す結果となることなども明らかにした。また無機質に有機質を混入させた材料では発熱量からみた場合、有機質をどの程度まで混入させても不燃材料の範疇に入るかについての目安を示している。
  他方、基材試験を通じてレジンモルタルの難燃化についての実験的考察を行い、レジンの熱に対する本質的欠陥からレジンモルタルの添加形難燃化についての問題点を指摘している。表面試験に関しては、建築材料を表面から加熱する際の加熱条件のちがいによる燃焼性への影響を示し、また、金属板や薄物の無機質板等、材料自身が燃えなくても施工法に十分注意しなければ防火材料がその機能を喪失する危険があることを示している。
  他方、防火材料には経年変化をしたり、空気中の水分などの影響で材料中の防火薬剤が流出して、防火性能が低下するものもあることを示している。
  更に、医療用やその他特殊環境による高気圧下での燃焼は、通常の1気圧の環境に比べて、燃焼速度が大きくなり、それに伴い発煙速度、発煙量もきわめて大きくなることを指摘している。

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