■建築研究報告

薄肉打込み型枠構工法ガイドライン

山本康弘*1編,馬場明生*2編著,大久保孝昭*2,守明子*3,
眞方山美穂*2,在永末徳*4 千歩 修*5, 窪田敏行*4,高橋和雄*6,
渡部嗣道*7,田中英司*8,木原幹夫*9,橋本敏男*10著

建築研究報告 No.135,1997  建設省建築研究所


<概要>

  この論文は単位表乾密度当りの曲げ強度である曲げ比強度が大きい薄肉型枠パネルを活用した打込み型枠構工法の1つの総合的な開発に関するものである。ここでの薄肉型枠パネルは主としてまだ固まらないセメント系材料を押出成形することによって製造される。その特殊な製造方法は型枠パネルを高強度で緻密とするのに効果的である。さらに、この論文では押出成形によるセメント系材料とともに通称フラットデッキと呼称されているタイプの鋼製デッキの利用も効果的である他、ガラス繊維や特殊な合成樹脂系混和材による高強度のセメント系材料も取扱われている。
  鉄筋コンクリート建築物の施工におけるロボット施工を実現するために、曲げ比強度の観点から選定された型枠パネルを評価し、改善した。その結果、打込み型枠構法としての型枠部材に要求される基本的な性能を評価するために、さらに高性能の部材と建築物を実現できる型枠部材へと改善するためのガイドラインを提案する。

  この種の鉄筋コンクリート構工法を開発するための主要な理念としては自動化適合型構工法の実現の他に以下の技術事項を想定した。

  1. 無機系型枠パネルおよびそれを活用した構工法を開発することによって地球環境への各種の作用を低減する。
  2. 外足場・外装仕上げおよび打設後のコンクリートの湿潤養生という3つの工程の省略による施工操作において不可欠な基本的な事項を確立する。
  3. 型枠部材の緻密化およびそれと内部に打設されるコンクリートとの一体化によって建築物の物理的な寿命を増大する。

  最後にここで提案したこの種の構工法のためのガイドラインは生産の現場において高性能の鉄筋コンクリート建築物を普及するために効果的であると考えられる。しかし、ここでは基本的な事項についてのみ取扱われているため、多くの未解決の技術的な事項が残されていることを明記し、これからのさらなる研究の発展を期待するものである。

*1 東京都立大学
*2 建設省建築研究所
*3 通産省工業技術院 九州工業技術研究所
*4 近畿大学
*5 北海道大学大学院 工学研究科
*6 東京理科大学
*7 (株)フジタ
*8 大成建設(株)
*9 旭硝子(株)
*10建材試験センター


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