■建築研究資料

都市における休日交通の基本特性

桐越  信

建築研究資料  No.48,  March  1984,  建設省建築研究所


<概要>

  所得の増加や労働時間の減少による、人々の休日の生活・活動パターンの変化は、今後の休日交通に大きな影響を与え、ひいては今後の都市交通計画の策定における休日交通のしめる位置にも影響を与えるものと思われる。
  そのような背景のもとに、本研究資料は、既存資料の整理とアンケート調査によって、休日における人々の行動・交通行動の基本的特性を把握するとともに、休日交通の調査の必要性に関する検討および休日交通を都市交通計画の策定に反映するうえでの課題の抽出を行ったものである。
  本研究資料は、7章で構成されている。まず第2章においては、パーソントリップ調査、道路交通情勢調査、国民生活時間調査など人々の休日行動・休日交通行動に関連のある既存調査結果の整理を行い、休日交通流動の特徴、休日交通特性と人々の属性の関連性、および人々の休日活動の特性をとりまとめている。
  次に第3章は、第2章で概略的に把握した休日の人々の交通行動特性のうちのいくつかについて、より詳細にその実態を把握するために、東京都板橋区高島平団地においてアンケート調査を実施し、その結果について分析している。ここでは、クロス集計も行って人々の交通行動特性を把握し、ついで自動車利用に関して非集計ロジットモデルを作成して休日交通の要因分析を行っている。
  第4章は、第2章での整理結果をも踏まえて、都市の休日交通に関連して生じている問題点の抽出と整理を行う。整理は特に平日の都市交通問題との比較を重点にしつつ進めている。
  第5章においては、第4章で整理した休日交通問題の発生構造に関して整理を行う。そのために、まず問題発生のプロセスを概括的に把握した後、具体的な問題に関してその発生要因の整理を行い、ついで発生要因の点からみた平日の問題と休日の問題の比較を行っている。
  最後に第6章では、街路交通調査体系の概略的な整理を行った後、第4章で抽出した都市の休日交通問題が、これらの街路交通調査にどのように位置づけられるかについて検討する。ついで、休日交通問題に対する対策の考え方を整理し、これらの対策を施すにあたって必要となる情報について整理した。そしてこれらの結果より、現在の街路交通調査体系のもとで、調査手法上課題となる事項についてとりまとめ、休日交通に着目して調査を進める場合の基本方向を検討している。
  これらの調査、分析を通し、休日交通の特性、都市交通計画における休日交通の課題および計画のための必要情報等が明らかにされたが、今後、更に休日を対象とした都市交通データの蓄積と計画策定への具体的展開方策の検討が重要な課題となろう。


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