■建築研究資料

沿道環境整備の地域社会への適用に関する調査・研究

森岡  秀悟

建築研究資料  No.30,  1981,  建設省建築研究所


<概要>

  本調査研究は,沿道側の対策として緩衝性建築物に着目し,緩衝性建築物の地域社会への導入を図る上で検討しなければならない事項について分析を行ったものである。即ち,緩衝性建築物の立地要因,あるいは立地状況等について検討するとともに,緩衝性建築物の立地に伴う各種の社会的・環境的影響についての分析等を行うことから,周辺土地利用と適合し,かつ住民の要求に沿った有効な沿道環境対策とするための対応等を探ることを目的としている。特に,後背地の土地利用との整合性や立地需要の点から共同住宅(下層階に商業施設が入居しているものも含む)を対象に緩衝性建築物としての地域社会への適用性を中心に検討を行った。
  本研究資料は,大きくは,沿道マンションの立地要因,立地可能性からみた緩衝性建築物の適用可能地区を検討するための沿道マンション立地状況調査と沿道マンションの立地に伴う各種影響についての利害関係者の意識に関する実態調査及びそれらの分析から構成されている。

  第II章においては,本調査研究を進めるにあたり把握しておく必要がある基礎的な
事項,即ち,共同住宅の需要動向及び沿道マンションの立地状況等について東京
都市圏及び東京都区部を対象に検討を行っている。また,共同住宅の沿道立地に
伴う利点,欠点についても検討を加えている。
  第III章では,緩衝性相当建築物としての沿道マンションが立地している地区を対象
に,沿道マンションの立地と立地に伴う各種社会的・環境的影響についての利害関
係者の意識に関する実態調査を実施するための実査体系の組み立てを検討する
とともに,実態調査の概要についてとりまとめた。
  第IV章では,第III章の実態調査結果をもとに,沿道マンションの立地要因,入居者
の入居理由,沿道マンションにおける環境対策と入居者の居住環境意識について
の検討を行っている。
  第V章では,同じく実態調査結果をもとに,利害関係者の特性比較を行うとともに各
種影響の相互関係を沿道マンション設計・計画段階と建設・入居後の2段階に分け
てとりまとめている。
  第VI章では,沿道環境対策としての緩衝性建築物に対する評価等についての分析
を行うとともに,これらの検討結果を踏まえて,緩衝性建築物の整備計画における
検討要素を整理し,地域社会への適用を考慮した緩衝性建築物の整備計画手順
について検討している。  これらの調査分析の結果,
 ○  緩衝性建築物としての沿道マンションの立地性向
 ○  緩衝性建築物の関係主体の環境等に対する意識の差異
 ○  緩衝性建築物の関係主体間の利害連鎖
 ○ 緩衝性建築物の整備計画にあたっての必要検討要素
等が明らかにされた。

 今後,これらの分析を更に進め緩衝性建築物の整備計画にどのように反映させ得るかについての具体的検討が必要となろう。


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