地震調査/掘らずに分かる?

 みなさんは八百屋などでスイカを買う時、どんなスイカを選びたいですか? おいしいスイカを選びたいですよね。でも買う前に、そのスイカを割って食べたり、傷つけて中を見たりはできません。おいしいスイカを見分ける良い方法はないでしょうか?
 それは、スイカの表面を手で軽くたたいて、その音を聞いてみることです。ポンポン、と弾むような音がすれば食べごろのおいしいスイカです。一方、コンコンと高い音がすれば、まだ食べごろではありません。逆にドンドン、と低い音がすれば、食べごろを過ぎてしまったスイカです。
さて、ここから本題です。
 みなさんは住む家を考える時、どんな地盤の上に建つ家を選びたいですか? しっかりした、地震でも揺れにくい地盤がいいですよね。これを見分ける方法は、地盤を掘って中を調べるのがベストですが、お金と時間がとてもかかります。掘らずに地盤の中を調べる良い方法はないでしょうか?
 実は、あるのです。地盤は、さまざまな人間活動などによって、常にかすかに揺れています。この揺れを、「微動」と言います。「微動」は人には感じられませんが、写真のような装置を使って簡単に計測できます。この計測データを分析して、地盤の中を大まかに調べることができるのです。調査方法の原理は全く違うのですが、スイカをたたいた音を聞いて、おいしいかどうか調べるのと似たところがありますね。
 ところが、スイカをたたいた音−ポンポン、コンコン、ドンドンなどの違いを識別するのは、実は、誰にでもできることではないそうです。スイカ栽培に熟練した農家の方でなければ難しい、と言われています。
 「微動」を使った地盤調査でも、似たようなことが言えます。微動計測の経験が少なかったり、調査方法の原理をよく知らなかったり、データ分析の技術が乏しかったりする技術者が調査を行えば、間違った調査結果が出てきます。残念ながら、今でも、実務や論文等で、そのような調査結果を見ることがあります。みなさんは、「微動」を使った地盤調査を行う場合、誰に依頼するかについては、腕のいい技術者を、実績や評判などに基づいて慎重に選ぶ必要があります。
 建築研究所では、「微動」を使った地盤調査の研究をさらに進めるとともに、その調査技術を社会に正しく普及させるための活動を行っていきます。
(独立行政法人建築研究所 構造研究グループ 新井洋)

【写真】微動計測の様子

微動計測の様子


前のページに戻る



 所在地・交通案内
関連リンク
サイトマップ
お問い合わせ
リンク・著作権


国立研究開発法人 建築研究所, BUILDING RESEARCH INSTITUTE

(c) BRI All Rights Reserved