固まる/温度変化・蒸発・科学反応で

 「もの」が「固まる」とはどのような現象なのでしょうか?
物質の温度が下がると固まり、上がると流動化することはよくご存じと思います。工業的にもこの性質が使われているものが多くあります。たとえば、熱で溶けるプラスチック(熱可塑性樹脂)、ガラス、ホットメルトと呼ばれる接着剤、アスファルト舗装などです。これらは、熱で溶かし、好きな形に成形ができます。
 一方、温度以外の要因で「固まる」現象もあり、この性質を利用し、実用化されているものも多くあります。具体的には、次の2つが挙げられます。
@水や有機溶剤などが蒸発することで固まる現象/水や有機溶剤などに固体成分を分散や溶解したもの
A化学反応で固まる現象/混合、空気中の湿気(水分)などで反応するもの
代表的な建設材料である「コンクリート」も、この「固まる」性質を利用しています。それでは、@あるいはA、どちらの現象でコンクリートは固まるのでしょうか? 
 コンクリートは、「セメント粒子」と「水分」が化学的に結合する反応(水和反応)を利用しています。すなわち、コンクリート中の水分の乾燥により固まるのではなく、よく固まるためには例えば写真に示すように、乾燥を防ぎ、十分な湿潤状態であることが必要です。(答えは、Aです)
 他にも、@やAの現象を活用している身近な例として、接着剤や塗料があります。
最近では、@やA単独ではなく、水が蒸発した後に化学反応をすることで耐水性を持った水系接着剤や塗料なども実用化されています。
 接着剤や塗料は、使用する面に接着剤や塗料が塗れることが必要であり、この「固まっていない」状態がないと、使い勝手だけではなく性能も発揮できません。しかし、液体のままでは接着剤、塗料ともにはがれてしまいます。そのため、液体から固体に変化する必要があるのです。
 このように、「固まる」は私たちの生活の中でさまざまな場所で活用されています。建築研究所材料グループでも、この「固まる」材料に関するさまざまな研究を行っています。
(建築研究所 材料研究グループ 鹿毛忠継)


【写真】「水中に入れて十分な湿潤状態を保ったコンクリート」

「水中に入れて十分な湿潤状態を保ったコンクリート


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